このタイトルのテーマはスピーチを語る上ではとても重要な問題で、どちらが大事かと言われるとかなり困るテーマではあるんですが、あえて結論から言うと
自分らしさです。
こんな経験はありませんか?
話し方はめちゃくちゃなんだけど、なんか心に響くものがある話しを聞いたこと。
これってテクニックを超えたところにあるその人のバックグラウンドがその人の話に乗っかっているので「なんかわかんないけどやる気になった」みたいな感覚に陥るんです。
逆にものすごくわかりやすい話なんだけど、全く心に響かない。
こんな話もありますよね。
これはテクニックに偏りすぎて頭でっかちな話になっているから聴衆はそう思うんです。
そう考えると、つたない話でも心に響く方がスピーチをする意味がありますので自分らしさの方が大事になります。
じゃあ何でも好き勝手話せばいいかっていうとそうじゃありません。
そもそも、テクニックなんて関係ないと思わせるほど熱をもって話せる人ってそう多くはありません。
それに話す以上は相手に伝わる努力はすべきですしテクニックを知らずして自分らしさを発揮してもそもそも伝わらないです。
テクニックが加わることで、より自分らしさを際立たせることができます。
これを説明するのにわたし自身の例をお話しさせてください。
わたしはこれまで40年近くスピーチをしてきました。
その過程の中でテクニックを相当教わりました。
抑揚、間の取り方、熱意、身振り、視線、感情を込める、ポイントのまとめ方等々。
いろいろなテクニックを教わって、人並みに話せるようになり周りの方からは「わたしが話すととても分かりやすくて勉強になる」と言っていただけるようになりました。
完全に自惚れですけど「俺そこそこいけんじゃね?」って思ってました。
でも今から思うとそれは完全にテクニックに偏った話だったんです。
テクニックに偏った話をしていくと、かなりわかりやすい話になるんです。
これはこれでいいことですし必須なんですけど、でもテクニックに頼った話はそこが限界点なんです。
「わかりやすい」
ここで終わりです。
頭の理解で止まるんです。
でもスピーチの本質はそこにあるんじゃなくて、それを通して人の心を動かすことです。
それもいやいやではなく「やってみよう!」と思わせるような動かし方です。
「わかりやすい」のは通過点なんです。
そこにわたしが気づけたのはつい1年ほど前のことなんですが、あることをきっかけにそのことに気づけました。(詳しくはこちらのページから)
その時の出来事やその後の出会いと学びを通して、言葉が心に与える影響力の強さをいい意味でも悪い意味でも身を持って体験しました。
そして心を動かす言葉というのは、その人の内面や、経験や、バックグラウンドから湧き上がってくるものだということに気づいたんです。
つまりこのページのテーマで言う「自分らしさ」です。
それに気づいてから、肩ひじ張って分かりやすさにこだわっていた自分の力がふっと抜けた感覚になって、もっとわたしの「らしさ」を前面に出すことを意識しました。
そうすると自然に、自分が過去経験したことやその学びが口をついて出てくるようになり、そういう話をするようになると同時にスピーチ後の皆さんの感想が「わかりやすかった」から「心が動かされた」に変化していったんです。
こういう変化を経験できたことで聴衆の心を動かすには自分らしさを表に出すことの方が大事だなと感じるようになりました。
でもテクニックを身に着ける努力をしていたことは無駄だったかというとそうではありません。
繰り返しになりますがテクニックを身に着けることなく「らしさ」を出しても、おそらく粗の方が目立って聞いてもらえません。
しかも独りよがりになりがちです。
それでも、聴衆がぐうの音も出ないほど圧倒的な実績や経験でもあれば我慢して聞きますしある場合その話がありがたがられることもあるでしょう。
でも、たいていの場合それがないか少ない状態で臨みますからそこでいきなり「らしさ」を出されても聴衆はポカンとするだけで全くついてこれないんです。
そういう状況を避けるためにも、またやがて心を動かす話し手になるためにもスピーチのテクニックを身に着けておくことは必須であると考えています。
ですからこのサイトでは主にテクニック面の話を中心にしていますが、いずれスピーチの中で「自分らしさ」をどうやって出していくか解説していきたいと思います。
目指すべきスピーチの形は、自分の人生やバックグラウンドが反映された自分らしいスピーチです。
そういうスタイルで話す方が聴衆の心を打つ話になります。
そしてそこに行き着く通るべき道としてスピーチにまつわる各種のテクニックを身に着けていきましょう。