抑揚のない話し方ってつまらないですよね。
まっすぐな直線道路を長時間車で走っていると眠くなるのと同じで、
話し方が常に一定で平板で何の変化もない話しは、
情報密度が圧倒的に濃いものでもない限り長く聞いてもらうのは難しいです。
聞く側になるとすぐにわかることですが、
でもいざスピーチする側になると途端に出来なくなるのが抑揚でもあります。
そもそも抑揚とは何でしょうか?
抑揚とは、声の調子を変えることで話にリズムを作ることです。
声の調子を変えるとは?
声の強さ、速さ、高さを断続的に変えることです。
こう言うと難しそうに感じると思いますし実際に難しいんですが、練習すると必ず出来るようになる技術でもあります。
- どうして抑揚が付けられなくなるのか?
- 抑揚を付けるために何をしたら良いのか?
今回は上記2つの点を考えます。
Contents
どうして抑揚が付けられなくなるのか?
一番の問題点は緊張です。
緊張で頭がいっぱいの状態で声の変化など考えが及ぶでしょうか?
ほぼ無理です。
じゃあ緊張するな、というのもまた無理な話です。
そうすると抑揚を付けることに意識が向けられるほど緊張感をある程度抑えなければならないことになります。
では何ができるでしょうか?それは準備段階でどれだけ話しの詳細を詰めるかと、何度練習をしているかが重要になります。
話の詳細を詰めるということは、自分が話すことの根拠をしっかりとるとか、論理的な構成にしているとか、聴衆が聞きたいと思う情報が含まれているかといったことです。
自分が話すことが聴衆の聞きたいことと合致しているかどうかは実際話してみないとわからない部分もありますが事前にある程度情報を得ることはできます。
その情報に対して「今回はこの情報を伝えることが聴衆にとってのメリットになる」という自信をもって話を作っていきましょう。
それで失敗することもあるでしょうが、そこを過度に気にしていると先に進まないので、まずは今持っている情報に自信をもって話を組み立てていくことが大事です。
また、練習に関してですが、可能であれば自然と内容が口をついて出てくるくらいまで練習していればベストです。
そこまでできなくても最低3回は練習しましょう。
そうすると話の筋を「体」が覚えますので言葉を出すことが難しいことではなくなります。
そこから生まれる自信が緊張感を和らげてくれるのです。
2つめの問題点は原稿です。
かなりフォーマルな場所でのスピーチは例外ですが、
スピーチの機会では特に全文原稿を用意すると抑揚は失われていく傾向が強いです。
なぜなら、原稿を「読む」ことに意識が向いてしまうからです。
形としてはスピーチなのですが、実際には用意した「原稿」を読んでいるだけなのでどうしても平板な話になりやすいのです。
さらに、全文原稿はその通りに読みたいという意識、つまり「間違えたくない」という意識が強まる傾向にあるため、
声の調子を変えて彩りを添えることよりも滞りなく読むことを意識してしまい結果抑揚が失われることになります。
それでわたしの見解としては、話す内容は箇条書きのメモ程度にしてあとは聴衆の表情を見ながら話すことをお勧めします。
絶対に間違えてはいけないところは別として、
実際のところ練習段階と本番での細かな言い回しの違いなんて聴衆にはわかりません。
気にしているのはあなただけです。
もっと言えば、言おうと思っていたことを飛ばしたとしても、それすら聴衆にはわかりません。
だって、聴衆はあなたの原稿を持っていないんですから。
なので、そこを気にするよりもどんな風に表現したらよいか、つまり抑揚を付けた話し方をしたらよいかに気を配るほうがはるかに聴衆の益になります。
是非原稿から抜け出して、言いたいことをメモ書きにしてその場で出てくる表現を大事にしましょう。
抑揚をつけた話し方をするために何をしたらよいのか?
最初のところで抑揚とは声の高さと、強さと、速さの変化だと述べました。
この内一番変えやすいのは強さです。
声の強弱ですから、ポイントに来たら声量をアップして話せば良いですし、そうでないところは抑えめに話せば達成できます。
これは強弱を付けるポイントがわかりやすいことと、割と単純に出来る方法なのでおすすめです。
抑揚を付けた話し方をしたいと思った場合、まずは声の強弱から始めてみてください。
次にやりやすいのは早さの変化です。
どこで緩急をつけるかがポイントですが、大事なところはスピードを落とす。
そうでないところはスピードを増す。
たったこれだけのことです。
分かりにくいスピーチをする方に共通している点ですが、そのような方はたいてい話すスピードが全部同じなのでどこが大事なのかそうでないのかがわからないんです。
だから伝わらないし面白くもない。
そこから脱却するためにも緩急のついたスピーチを是非意識してみてください。
もちろん話しながらその流れの中で自在にスピードを落としたり早めたりというのは、正直最初は難しいです。
ですから、最初は準備段階で「ここは早めに話す」とか、「大事なポイントの前でいったん間をおいてそこからゆっくり話す」というのを自分がわかる印やメモなどつけて決めておくことがおすすめです。
そうやって速さの変化を意識した話をしてみましょう。
最後は高さの変化です。
声の強さを変えることと混同されがちですし似たところがありますが厳密には違います。
しかしいったん話し始めた自分の声のトーンを変えるのは難しいです。
同じ調子で話す方が楽だからです。
でも意識して声の高さを変える工夫をすると話が持つ響きが変わります。
具体的にはどうしたらいいのでしょうか?
低音で話す箇所と、高音で話す個所を作ることでそうできます。
低音で話す箇所とはどんな部分でしょうか。
聴衆に注意をひきたいとき、つまり大事なことを話す前ということになります。
例えば大事なことを話す前に低い声で「いいですか、皆さん…」と話し始めると、聴衆は「え?なんだろう」と興味をひかれます。
大事なことがこれから話されるぞ。
そんなイメージを与えることができるのです。
では逆に高音で話す時とはどんな場面でしょうか?
何かを提案するときや行動を促す時に使うことができます。
「ここは皆さんが変わるべきところですよ!」というメッセージが伝わるようトーンを一段上げて話すと聴衆の思いが次の言葉に向くことになます。
あるいは話している途中で聴衆の注意が散漫になってきたなと感じた時に、
話に引き戻す意味で「では皆さん!」とトーンを上げて話すと、またあなたへの話に戻ってきてもらう効果もあります。
抑揚のつけた話し方のまとめ
話の中で抑揚が付けられないのは、緊張や全文原稿に頼りすぎてしまうことが原因でした。
もちろんこれだけがすべての原因ではありませんが、代表的なものを上げると上記2つになります。
抑揚をつけるためには、声の強さと、速さと、高さを変化させることでした。
この3つすべてを断続的に入れ込むのはかなり高度だと思われるかもしれません。
でも、思い出していただきたいのは皆さんが「これ絶対おすすめっ!」という話を家族や友人にしているときは自然とこの3つを織り交ぜながら話しています。
つまり、抑揚のついた話し方なんてものは日常会話の中で自然とやっていることなんです。
その感覚を思い出しながらそれをスピーチに生かすのです。
それができれば世話ないよ。と思われるかもしれませんが、その感覚に近づけていく努力が抑揚をつける練習になります。
是非それを目指して頑張ってみてください。