なかなか自分の思いが伝わらない。
意図が伝わっていないように思う。
人と人との間のコミュニケーションにはつきものの問題です。
年齢が離れているほど難しくなるものです。
上司から部下へまた年上から年下の方へのコミュニケーションでは必ずと言って良いほどこの問題って起こりますよね。
そんなときコミュニケーションが上手な人はどうやってこの問題を乗り越えているんでしょうか?
先日ヒントになるエピソードがありました。
わたしが尊敬する方から面白いある美容室があるからと以前から聞かされていたお店に行ってきました。
理念と信念をしっかりと持った方が経営されている美容室と聞いて一度どんなお店か尋ねてみたかったんです。
本当はその経営者の方に切っていただきたかったんですが予約が取れないのでフリーでお願いすることに。
そこでわたしの担当になってくれたのは、おそらく20代半ばの男性。
わたしから見たら子供くらいの年齢です。
どれくらいのキャリアかはわかりませんがここでは便宜上若手君と呼ぶことにします。
紹介してくれた方のつながりもあり、最初から結構気さくに話してくれる感じでした。
話をしていると経営者の方はわたしとほぼ同年代とわかったんですが、その若手君は経営者の方のことをとても尊敬しているようでした。
そうは言っても怒られるときはめちゃくちゃ怒られるようで長時間の説教もざらだとのことです。
わたしからするととても昭和な臭いがするやり方で、それは平成生まれの人には通じないのではないかと思ったのですが、平成生まれの若手君はそのあたりは気にしていないようでした。
不思議に思ったので「どうしてそこまで怒られてもついて行けるんですか?」と聞いてみました。
すると彼が一言。
「僕のことずっと見ててくれてるのがわかるからですね」
そう言ったんです。
「なるほど、どんな時にそう感じるんですか?」と質問を重ねると。
「僕が担当したお客さんのカットを見ていてくれて僕の癖とかよくわかってくれてるんですよ。
例えばコンテスト用に出すカットの写真を見ただけで僕が何をしたかったのか、やろうと思って出来なかったかを的確に指摘してくれますしね」
それを聞いて、凄いなあと思いました。
つまり普段からその若手君をよく見てるって事ですよね。
そこのお店のスタッフは彼だけではなく恐らく10人以上はいるわけで、その一人一人にも同じようなことをされているのでしょう。
事前に聞いた話によると、その美容室のスタッフの離職率はかなり低いようです。
入れ替わりが激しいのが当たり前と言われている業界のようですのでこれはかなり凄いことのようです。
でも若手君の話を聞いているとその理由がわかる気がしました。
自分のお客さんのカットだけでもそうとう忙しいでしょうし、経営者でもありますから業務は多岐にわたると思います。
そんな中でもスタッフ一人一人と向き合うのはかなりの努力をしないと出来ないことです。
大抵そういうことがだんだん面倒くさくなってくるのでやらなくなりますよね。
そして溝がどんどん深まって気付いたときにはみんなの心が自分から離れていたなんて事はよくあります。
わたしもそれで何度も失敗しました。
そこをめんどくさがらずに丁寧に一人一人と向き合うのは結果的にコミュニケーションの溝を広げないためのとても良い方策だなと感じました。
普段から自分と関わる人たちの様子をよく見ておく。
その思いを乗せて声をかける。
出来そうで出来ないことですが、コミュニケーションで成功するためには必須のことだなと感じました。
そういう信頼関係が築かれていると、多少昭和な雷オヤジ的側面が見えてきたとしても付いてくる人は付いてきてくれるんです。
しかも離職しない。
かなり深い信頼関係がないと出来ないことだと思います。
わたしのキャラとしては雷オヤジ的なことは出来ませんが、今よりもっと一人一人と向き合い観察し特性を把握しておく努力を続けたいと思わせてくれる一時でした。
大事なのは相手への思い。
使い古された言葉ですが、やはりこれは円滑なコミュニケーションには欠かせない要素だと確信しました。
年は親子ほど離れている若手君の話でしたががとても勉強になる一時だったと感謝しています。