コラム

話し方の口調や言い方の大切さを再認識させられた不動産営業マンのトーク

先日実家の家を買い換えることが話題になり、不動産屋に問い合わせて物件を見に行くことになりました。

70代後半になり足腰が弱ってきた両親は、今住んでいる家の階段の上り下りが苦痛になってきたこともありできるだけ段差のないマンションを探すことにしました。

とは言え予算が限られているため高望みは出来ません。

それで、ネットで良さそうな物件が出ていたのでその物件を扱っている不動産会社に電話したところ、その物件は一昨日ちょうど売り切れたため別物件をご案内しますとの返事。

不動産屋あるあるだなと思いつつも、とりあえず数件の物件を紹介してもらいました。

当日は、両親への心配と「カモ」られないようにするためわたしを含めた家族も同行し半日かけて見て回ることにしました。

見た目は爽やかだが、営業マンの話し方に一同……

その時物件紹介に当たったのが、30代前後の男性営業マン。

見かけは好印象でしたが…。

いざ、最初の物件を見に行くと

なんとも汚い…

クロスは煙草のヤニでベットリ

カーペットは染みだらけ

台所もギトギト

一応営業マンに確認してみました。

「現状渡しですか?」

「もちろんです」

そりゃ賃貸じゃないからそうでしょう。

でも相当手を入れないと住めたものではないです。

でも営業マンは言います。

「200万あればリフォーム可能です」

わたしたち家族は正直、「それは無理だろう」と思いました。

原状使えるものは何もないので水回りも含めて全部屋全面リフォームです。

200万で収まるようには到底思えません。

「この人は何を根拠にそんなことが言えるんだろうか?」

不信感が広がります。

二件目。

一件目よりは綺麗でしたが、致命的だったのはエアコンを取り付けられない部屋が存在すること。

今の日本でエアコンつけれない部屋に存在価値あります?

しかもその部屋の窓はカビだらけ。

物置部屋にするのも心配なくらいです。

でも営業マンは言います。

「この予算ですと築年数は古くなるのでこういう間取りの部屋になるのはしょうがないですね」  終わり。

いや、そりゃそうでしょうけど、それにしてもひどくないですか。

その言葉から感じ取れるのは、そんな予算ならこれくらいの不便当たり前でしょ感。

またもや不信感増大。

三件目。

本日MAXで最悪な物件登場です。

3部屋のうち2部屋はエアコン設置が無理。

その上一部屋は窓の下の壁が腐っている模様。

残りの一部屋は浸水被害にでも遭ったのかと思えるほど畳がカビだらけの上にクロスもカビだらけでベローンとめくれてる。

営業マンは言います。

「リフォームかければ大丈夫ですよ」

平気な顔して言います。

いや、この惨状見たらリフォームかける以前に健康被害気になりますよね。

もう不信感しかありません。

その後数件見ましたがどれもいまいちな物件ばかり。

家族の中では口にはしませんが、「いくら予算が少ないからってこんな物件を平気で紹介する神経がわからない」そんな共通認識が漂っていました。

そして営業所に戻り、話をしたのですが営業マンはどうも一件目の物件を売りたいらしく、両親にたたみ掛けてきます。

「この地域で、あの物件が、この値段で出ることはあり得ないです。絶対お買い得です」

両親はウ~ンと考え込み「ちょっと一旦考えます」と返事。

するとこの営業マン。

「いつお返事いただけますか?何日かかりますか?持ち主さんにも伝えないといけないので具体的な日にちを教えてもらわないと困ります」

その言葉にもう家族中が「ハァアアアアアア?」となりました。

こんなろくでもない物件紹介しておいて、返事急かせるってこの人の頭の中は一体どうなってるんだろう?

もう訳がわからないです。

「もうこの不動産屋はないな」と思ったのでわたしの独断でしたが話を切り上げてその場を出ることにしました。

話し方で大切なことを改めて思い出させてくれた

この空気感を文字でお伝えするのは難しいのですが、話している最中ずっと感じたのが歯切れの良さは理解できるが、断定的で上から目線。

こんな印象なんです。

それで紹介している物件が「なるほど」と思えるようならまだしも、どれを見ても相手のことを考えてチョイスしたとは思えない物件ばかり。

そして最後に自分都合で返事を迫る始末。

これでは売れる物も売れないなと感じました。

わたしは別に営業マンがヘコヘコすることを望んでいるわけではありません。

でも、もうちょっと言い方を工夫すればかなり印象が違うのになと感じざるを得ませんでした。

例えば、「リフォームを200万で出来ます」と言い切った場面ですが、もしかしたらそうできるんでしょう。

でもそこまできっちりできますって言っておいて後からもっと費用がかさんだらどうするの?

そもそもリフォームって最初の予算通りにはいかないものですよ。

こういう疑問や不信感が出てきてしまいますよね。

でもこの時「わたし自身は200万くらいで出来ると思いますが、ご希望内容によっては250万から300万かかることもありうるかと思いますねえ」

と、少し幅を持たせた言い方が出来れば、「まあ、それくらいはかかるよね」と納得すると思うんです。

二件目、三件目の物件は一件目を引き立たせるためにあえてひどい物件を紹介したのかなと感じたりもしましたし、あえて惨状を隠さずに紹介するのはある意味正直なのかなとは思いつつも

それでも「この予算だとしょうがないですね」はないですよね。

例えば「現時点でご紹介できるのはこういった物件なのですが、違う物件も出てきますのでそちらを待っていただくのも良いかと思います」

こんな風に言えば、少なくともこの物件はさすがにちょっとひどいと思ってるんだなというのは伝わりますし、「今のところはこうだけどもう少し待ってみようかな」とも思えますよね。

最後の、「いつお返事いただけますか?」これもちょっとデリカシーがないですよね。

もちろん返事が必要なのはこちらも理解できますし、そうすべきなのはわかっています。

でも、完全に自分たち都合の言い方は相手への配慮が欠けていますよね。

なので例えば「安い買い物ではないのでお時間も必要かと思いますが、大体で結構ですのでいつぐらいにお返事いただけそうか教えていただけますか?」

それでも相手が返事を渋るようであれば

「では一週間後くらいにわたしの方から改めてご連絡させていただきますね」

こんな風に言えば角が立たないと思います。

ちょっとした言い方なんですよね。

その言い方でかなり相手に与える印象が変わってきます。

でも、その言い方ができるかどうかは相手への思いやりです。

営業マンの方は恐らく数千万あるいは億を超えるような物件も扱うのでしょう。

それから比べれば、はした金に見えるような物件に時間を割くのは面倒くさいのかもしれません。

だからといってそれを表に出してはいけないです。

思っていることはその人の口調、雰囲気、言葉遣いに確実に表れます。

言葉にならない雰囲気の部分で伝わってしまい、その思いが言葉に乗ってしまうんです。

この部分は相手への思いなので、いくら話し方の技術を磨いてもカバーしきれないものです。

逆に言えばここに敏感になれると、話し方の技術をカバーしてくれます。

話し方の技術は大事なものですが、それだけを追い求めていくのではなく相手への配慮や思いやりも併せ持ちたいですね。

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キヨシ

スピーチコンサルタントのキヨシです。
スピーチ歴40年
これまで1500人規模の人の前で話すこと多数。
スピーチのコツやテクニックを体得。
このサイトは、
・話し下手を解消したい。
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