実写版キングダムが公開されていますね。
漫画は途方もない巻数があるので手を付けられていないのですが、映画なら世界観を知るのにちょうどいいかと思い見てきました。
なぜキングダムに興味を持ったかというと、参加しているビジネスコミュニティの中で時折キングダムのことが例として挙げられていたからです。
単なるマンガという枠組みに捕らわれず、ビジネスにも通じる考えがあることが言われていましたのでこの機会に一度作品に触れてみようと思ったわけです。
漫画の世界を知らないので前知識がなかった分純粋に映画は面白く娯楽として十分楽しめたのですが、わたしとしてはスピーチという観点から見てみました。
そこで気付いたのは「人の心を動かすスピーチとは?」という記事タイトルにある考えです。
少々ネタバレな部分もありますのでご了承のほどを。
映画キングダムで山の民を動かしたスピーチとは?
今回の記事テーマにもっとも関係のあったシーンは、王座を乗っ取られた政が、信や家臣達と共に山の民の王楊端和を説得し共に王座を取り返すため加勢してくれるよう誘うシーンです。
しかし秦と山の民との間には、かつて同盟関係がありましたが、秦側が一方的に同盟を破棄し山の民を虐殺した歴史があり、その説得は無謀どころか殺されかけてしまいます。
そこで、政と信そして楊端和のやり取りが始まります。
政は王の風格をまとい常に冷静沈着、学識もあり理性的な物言いで「中華統一」の理想を掲げます。
一方の信は直情型で学もそれほどないため、言葉は粗野ですが感情を揺さぶる何かがある。
当初楊端和は政の言葉を理解しつつも過去の恨みがあるため心までは動かされません。
むしろ過去仲間達が虐殺された歴史の傷が尾を引いており山の民は更に憎悪を強めていきます。
しかし、信が放った「もしお前らが本気で死んだ奴のこと思うなら、奴らの見た夢を、現実のものに変えてやれよ」
この一言が決定打となり、楊端和率いる山の民は、政に協力し王座奪還への道を歩み始めます。
このとき、政の言葉だけでは心が動かされない。
かと言って信の言葉だけでは、理解ができない。
どちらか一方だけでは山の民を説得することが出来なかったんです。
でも、両者がうまく融合することで山の民は政達と結束することになりました。
わたしたちがスピーチしたり人を説得するときに必要な大事なヒントとは?
それは、人の心を動かすには、相手の理性と感情を両方納得させないといけないと言うことです。
多くの人はこのどちらかに偏りがちです。
知識が豊富な方はどうしても、論理や筋道に重きを置きすぎてしまいます。
それを聞いて、人は「なるほど」と思ったとしても、それを元に行動するかというとそれは別問題です。
「一つの考え方として勉強になりました」、ここで終わってしまうことが少なくありません。
一方感情だけで話しがちな方の場合「熱意はわかった。で?その根拠は?」
あるいは「なに一人で熱くなってんの?」
こういうことに陥ってしまいがちです。
どちらも相手の心を動かすには片手落ちになります。
それで、理性と感情を動かす両方の性質が必要になります。
では理性的な話とは何でしょうか?
それは論理的であることです。
論理的とはなんですか?
わかりやすく、筋道が立っていて、十分な証拠があることです。
感情を動かす話とは何ですか?
情熱や心を込めるということです。
どうやったら情熱や心を込めることが出来ますか?
どうしても相手に伝えたいという思いと、テーマに対する自分の熱意を伝えることです。
この両方を意識して話を組み立て、気持ちを話に反映させればあなたの話も単に「わかりやすい」から「聞いたことをやってみよう」という思いになります。
キングダムはそんなことを教えてくれていたように思いました。